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第54期 パーソン・センタード・ケアと認知症ケアマッピング基礎研修

12月5日から7日までの3日間、タイム24(東京都江東区)にて、第54期パーソン・センタード・ケアと認知症ケアマッピング基礎研修を開催しました。全国から認知症の方のケアに携わる専門職が参加し、21名の基礎マッパーが誕生しました。講師は、水野裕(ストラテジックリード、まつかげシニアホスピタル認知症疾患医療センター副院長)、村田康子(NPO法人パーソン・センタード・ケアを考える会代表)、事務局は桑野康一、畠山美恵子(NPO法人シルバー総合研究所)が担当しました。

今回は1日目の午後におこなわれる「本人の状態からニーズをとらえ、アプローチにつなげる演習」をご紹介しながら、パーソン・センタード・ケアの価値基盤の一つである「パーソンフッド」についてご説明します。さて、この演習は午前中に学んだパーソン・センタード・ケアの理念をもとにして、ご利用者の観察からその人の「パーソンフッド」を高めるためのパーソン・センタードなアプローチを導き出す目的でおこないます。

「パーソンフッド」とは、「その人らしさ」と訳されることもあるのですが、もう少し詳しくテキストでは「一人の人として、周囲の人や社会とのかかわりを持ち、受け入れられ、尊重され、それを実感している、その人のありさまを示す。人として、相手の気持ちを大事にし、尊敬しあうこと。互いに思いやり、寄り添い、信頼しあう、相互関係を含む概念である。」と説明しています。

誤解を恐れず少し噛み砕いて言えば、ご本人と周りの人々との間に信頼関係が成り立っていて、ご本人がそれを受け入れ実感している状況、といった感じで捉えることができるかなと思います。その状況を「パーソンフッド」が維持されている、高められていると表現します。

この演習では、どうすれば登場人物エバさんの「パーソンフッド」が維持、向上されるかを、エバさんの今の状態の観察から検討します。観察するのは、エバさんが発しているサインで、それは表情や言葉、ボディランゲージなどです。そして「エバさんは、今何を感じているのだろうか、その背景には何が影響しているのだろうか」と考えていき、「パーソンフッド」高めるための具体的なアプローチ(ケア者のポジティブなかかわり)を導いていきます。

エバさんは、戦時中にドイツ軍(ナチス)に家族が連行された経験をもつポーランドご出身の方で、今入居している施設の体験が、当時の体験につながって混乱している様子が映像で描かれています。一人孤独にフロアで過ごしていたり、何も言わずにスタッフが車椅子を移動させたり、大きな音のするエレベーターの前で待たせられたりする時に、過去の記憶とつながり混乱が起きています。

その様子を観察しながら、「エバさんは今何を感じているのだろうか、その背景には何が影響しているのだろうか、どうすればエバさんが穏やかに落ち着いて生活できるだろうか」と考えます。そして、例えば「移動するときは、これから何をしにどこに行くかを事前に説明して、エバさんが納得されてから車椅子を移動するようにする。そうすることでエバさんの「くつろぎ・安らぎのニーズ」を満たし、混乱することなく穏やかに移動していただけるのではないか」などといった具体的なパーソン・センタードなアプローチを導き出していきます。

実際の介護現場では、ケアを提供するプロセスや意義を改めて検討する機会や時間はあまりとれないかもしれません。この演習では、パーソン・センタード・ケアの価値基盤をもちいて、丁寧にその人への個別ケアを考える機会としています。

研修を修了された方々は、明日からそれぞれの現場で、パーソン・センタード・ケアの目を新しく持って、日々のケアにあたられることと思います。ご利用者との信頼関係がさらに深まり、充実した日々を過ごされますよう、ますますのご活躍をお祈り申し上げたいと思います。

写真と文 桑野康一

1日目「本人の状態からニーズをとらえ、アプローチにつなげる演習」利用者エバさんのサインから、ニーズや背景を捉え、パーソン・センタードなアプローチを導き出す
1日目「本人の状態からニーズをとらえ、アプローチにつなげる演習」
1日目「本人の状態からニーズをとらえ、アプローチにつなげる演習」
1日目「DCMのコード付け」 C:周囲に無関心で自分の世界に閉じこもっている状態を演じるトレーナー
3日目「DCMのフィードバック ロールプレイ」
3日目「DCMのフィードバック ロールプレイ」
参加者、トレーナーの記念撮影

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