7月4日から6日までの3日間、タイム24(東京都江東区)にて、第52期パーソン・センタード・ケアと認知症ケアマッピング基礎研修を開催しました。全国から認知症の方のケアに携わる専門職が参加し、33名の基礎マッパーが誕生しました。
今回も研修の内容を写真でお伝えいたします。
研修1日目は、おもに「パーソン・センタード・ケア」の理念について座学、演習を通じて学びます。認知症をもつ人のパーソンフッド(一人の人として、周囲に受け入れられ、尊重されること、また本人がそれを実感していること)を高めることの重要性、そのために「心理的ニーズ」を満たすかかわりが大切であること、などパーソン・センタード・ケアの基礎的な考え方を学びます。
午後からは、認知症ケアマッピングの実践的なコード付けについて学びます。認知症をもつ人の行動や表情などのサインを、BCC(行動カテゴリーコード)やME値(感情・気分/関わりの値 )などのコードを用いて記録し、認知症の人のおかれている立場に近づこうとする試みです。本人の潜在的な能力を発見し、高めるための記録のルールなども学びながら、認知症をもつ人の立場やケアの重要性について考えていきます。
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1日目 午後「 DCM のコード付け 」
2日目の午後には、「個人の価値を低める行為(PD)」と「個人の価値を高める行為(PE) 」を学びます。これは、介護者(スタッフ)のかかわりを記録するコードです。これらのかかわりによって、その人の心理的ニーズが満たされたり、損なわれたりすることを関連付けて学んでいきます。
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心理的ニーズと関連付けながら学ぶ
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「子供扱いすること」などの個人の価値を低める行為について学ぶ
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実際に「個人の価値を低める行為」を互いに体験する
2日目の終わりには、講師がロールプレイで演じてきた認知症をもつ人への、具体的な「パーソン・センタードなアプローチ」をグループワークで検討します。その人が示している「サイン」から、その時その人は何を感じていたか、また心理的ニーズは満たされていたか、いなかったかを検討します。そして、満たされていなかったのならば、なぜ満たされていなかったのか、その背景や要因となる事柄を、「パーソン・センタードモデル」(認知症の人の行動に影響している要因のモデル:脳の障害、身体の健康状態、生活歴、性格傾向、社会心理)を用いて検討し、具体的なアプローチを導き出していきます。
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平田さんが示していた「サイン」からアプローチを導き出す
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「心理的ニーズ」や「パーソン・センタードモデル」を使って検討する
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グループで話し合ったことを全体で共有する
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グループで話し合ったことを全体で共有する
3日目の午前中には「試験」があり、これにパスし3日間の研修をすべて終えると基礎マッパーに認定されることになります。午後には、ロールプレイで施設への導入を模擬的に体験し、導入のために大切なことなどを学んでいきます。
3日間びっしりと詰まった研修で、長いようで短く、あっという間に3日間が過ぎてしまった、というのが皆さんの感想です。とても濃い3日間です。
写真と文 桑野康一
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