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第2回身体拘束ゼロ・高齢者虐待防止推進勉強会 新しい身体拘束ゼロの考え方~鳥海房枝先生、田中とも江理事を囲んで

2019年6月8日(土)、特別養護老人ホーム沼風苑(千葉県柏市)にて、「第2回身体拘束ゼロ・高齢者虐待防止推進勉強会 新しい身体拘束ゼロの考え方~鳥海房枝先生、田中とも江理事を囲んで」を開催しました。講師、ファシリテーターは、鳥海房枝氏(特定非営利活動法人メイアイヘルプユー事務局長)、田中とも江理事(社会福祉法人こうほうえんケアホーム西大井こうほうえん 施設長)、下山久之理事(同朋大学社会福祉学部 教授)、小池京子氏(医療法人大誠会内田病院 スタッフ)、佐久間尚実理事(社会福祉法人沼風会 サービス管理)でした。

テーマは、「新しい身体拘束ゼロの考え方」でした。現在厚生労働省では「身体拘束ゼロへの手引き」の改定について議論されており、「身体拘束禁止の対象となる具体的な行為」、いわゆる11項目の見直し等が検討されているとのこと。また、ご家族が拘束を希望する例が多く報告されていることから、市民啓発についても検討されているということです。そこで第2回勉強会では、検討委員会に参加している方々を迎えて、新しい身体拘束ゼロの考え方について学ぶ機会としました。

新しい身体拘束ゼロの考え方をテーマに、下記の問いかけについて取り組み例をもとに議論し共有しました。
◎身体拘束を廃止しようとした時、まず何から取りかかりますか?
◎ご家族が身体拘束を希望した時、どのように対応しますか?

講演「新しい身体拘束ゼロの考え方〜まずなにから取りかかったらよいのか」鳥海房枝氏(特定非営利活動法人メイアイヘルプユー事務局長)では、介護保険の施行とともに身体拘束の禁止が規定されてからの、介護現場の意識の変化を踏まえながら、現状は11項目にあたらない「不適切ケア」が見られていることから、「身体拘束ゼロへの手引き」の見直しが始まっていることを報告いただきました。

まず何から取り掛かるかでは、現在やむを得ず身体拘束をしているとすれば、なぜそれをしなければならないのか、「なぜ」を掘り下げて考えるきっかけにすることが、身体拘束をしないケアにつながるという話がされました。

また、ご家族が身体拘束を希望するケースについては、転倒や転落などのリスクは生きている限り誰にでもあること、リスクを回避するために身体拘束を行った場合、「棺桶に入らない遺体」をつくることになる、施設側は家族にそのことを説明しているだろうか、家族とリスクを共有してともに悩む環境を作るべき、との話がなされました。

田中とも江理事(社会福祉法人こうほうえんケアホーム西大井こうほうえん 施設長)の「ご家族が拘束を希望した時の対応について」の講演では、自身の精神科勤務時代の身体拘束の原体験を紹介しながら、精神的に自由であることが人にとって大切なことであり、認知症をもつ人であっても保証されるべきであると話されました。

そして、自施設で実際にあった、ご家族が拘束を希望したケースについて報告されました。その報告では、ご家族から話があった時に、すぐにスタッフ全員と話し合いそれぞれの意見を聞き共有し、ケアプランに落とし込んでいった、そのプロセスが大事だし、記録に残して共有するというシステムがあることが大切であると話されました。

事例検討「家族が拘束を希望した事例」では、特別養護老人ホーム沼風苑スタッフ村島さんより、「ベッド柵4本と眠剤を外せないショートスティ利用者のAさん」の事例報告がありました。ナイトケアのときに、オムツをはずそうとされていたり、ベッドの上で立ち上がったりされていたために、4本柵の設置と眠剤の服用を開始したが、その後のアセスメントによって、端座位がとれることや、ご自身の危険察知能力があることがわかり、ベッド柵を減らしているという経過報告でした。

小池京子氏(医療法人大誠会内田病院 スタッフ)のグループワークでは、オムツ外しが頻回でいつもオムツが濡れていた方のご家族から、「縛ることは出来ませんか?洗濯物が多くて困っているんです。」と言われたという過去の事例について、参加者全員で検討しました。実際には、排泄記録をつけたりといったアセスメントしっかり行ない、ご家族に取り組み経過を逐一報告し、信頼関係を築いていくことによって、BPSDが減っていった、結果、家族の理解も得ることができた、との報告がありました。

写真と文 桑野康一

講演「新しい身体拘束ゼロの考え方〜まずなにから取りかかったらよいのか」鳥海房枝氏
「ご家族が拘束を希望した時の対応について」田中とも江理事
「ご家族が拘束を希望した時の対応について」田中とも江理事
事例報告「ベッド柵4本と眠剤を外せないショートスティ利用者のAさん」特別養護老人ホーム沼風苑村島さん
事例報告「ベッド柵4本と眠剤を外せないショートスティ利用者のAさん」特別養護老人ホーム沼風苑スタッフ
グループワーク「家族が拘束を希望した事例」小池京子氏
グループワーク「家族が拘束を希望した事例」小池京子氏
グループワーク「家族が拘束を希望した事例」小池京子氏

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