7月5日(木)から7日(土) までの3日間、タイム24ビル(東京都江東区)で、パーソン・センタード・ケアと認知症ケアマッピング(DCM)基礎研修を行い、37名の研修修了者が「DCM基礎マッパー」に認定されることになりました。
この研修は、イギリスのブラッドフォード大学認知症ケア研究室が提供している、認知症ケアの理念と実践を学ぶ研修です。日本では、認知症介護研究・研修大府センターが窓口となり、年4回開催しています。年2回の東京開催はシルバー総合研究所が運営を担当しています。
毎回、介護職、看護職、ケアマネジャー、医師、療法士、教員、研究者、ボランティア、介護家族など、認知症のケアにたずさわるさまざまな背景を持った方が、パーソン・センタード・ケアを学びに参加されます。最近は、認知症介護指導者や認知症認定看護師といった、認知症ケアのエキスパートもさらに学びを深めたいという理由で参加しておられます。今回は、新潟県がパーソン・センタード・ケアと認知症ケアマッピングの導入を事業として計画しているとのことで、県からの派遣で3名受講されました。
日本で研修をはじめてから14年間で、研修修了者は1,600名ほどになりました。人数はまだまだ少ないですが着実に増えており、パーソン・センタード・ケアの理解が少しづつ広がっていると実感しています。
<第47期パーソン・センタード・ケアと認知症ケアマッピング研修トレーナー>
水野 裕(いまいせ心療センター 副院長)
中村裕子(認知症介護研究・研修大府センター 研修主幹)
村田康子(NPO法人パーソン・センタード・ケアを考える会 代表)
桑野康一(NPO法人シルバー総合研究所 代表) 事務局担当
コースのリーダーを務める水野裕トレーナー(日本ストラテジックリード)。毎回3名~4名のトレーナーが3日間の研修を担当します。トレーナーは全員、ブラッドフォード大学が定めたトレーナー養成課程を修了しています。日本では現在6名のトレーナーがコースを担当しています。
イギリスの研修チームが制作した映像教材「EX MEMORIA(記憶の中から)」を見て、登場人物エヴァさんの「サイン」から、パーソンセンタードなアプローチを導き出す演習。「本人の状態から、ニーズをとらえ 具体的なアプローチにつなげる演習~記憶の中から」。研修は、座学とグループワークを織り交ぜて行います。
トレーナーが認知症の人を演じ、研修参加者が模擬的にマッピングする演習。認知症の人を観察する視点や、コーディング(記録)の方法をロールプレイによって学びます。また、研修の後半では、コーディングの結果をどのようにスタッフに伝えていくか、データ分析やフィードバックの方法についても一緒に学んでいきます。
認知症の人のサインの観察から、「心理的ニーズ」や「パーソンセンタードモデル」などのツールを使って、認知症の人の行動の背景や要因を探り、パーソンフッド(その人らしさ)を高める、具体的なアプローチを導き出していきます。観察を通して、その人が体験していることに近づこうとする試みです。
最終日には、研修の理解度を測るテスト(アセスメント)を行います。このテストに合格すると、「DCM基礎マッパー」の認定が与えられます。本場イギリスでは4日間の研修カリキュラムですが、日本では勤務事情等を考慮して3日間で行なっています。朝から夕方まで、3日間凝縮した学びの時間を過ごし、皆さん笑顔で自身の現場に戻って行かれました。(了)
(お知らせ)
平成30年7月18日(水)に「パーソン・センタード・ケアミニ勉強会・認知症ケアマッピング基礎研修説明会」を開催します。研修トレーナーがミニ勉強会をおこないます。パーソン・センタード・ケアや認知症ケアマッピングにご興味のある方はぜひご参加ください。 (参考サイト)
パーソン・センタード・ケアと認知症ケアマッピング(DCM)
※認知症介護研究・研修大府センターが運営するサイト
イギリスブラッドフォード大学
※認知症ケア研究室のホームページ
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