認知症をもつ高齢者の行方不明

高齢期になると記憶力・判断力が低下してくることがあります。さらに認知症になると、道を間違えたり、自分がどこにいるのかわからなくなり、その結果家に帰れなくなる方もいます。

2024年の警察庁の調査によると、1年間の認知症の行方不明者は1万8121人で、このうち491人が遺体で見つかったことがわかりました。2024年の全体の行方不明者数(子ども、若者、認知症以外を含む広範な統計)は公表されていませんが、2023年では、警察が「所在確認等」を行った行方不明者は8万8470人だったとのことです。日本で1年間に行方不明者となる人の2割強が、認知症をもつ人であるという現実が浮き彫りとなっています。

街を歩くお年寄りの姿

認知症をもつ高齢者は、ただ意味もなく歩き回っているのではなく、ご本人なりの理由や原因があります。たとえば、これまでの生活の習慣から散歩に行こうとしていたり、昔暮らしていた実家に帰ろうとされたり、家族に怒られて今いる場所から逃れたいという衝動で出て行かれたり、といったことです。

周りの対応の遅れが命取りに

認知症をもつ高齢者の行方不明の背景には、家族が認知症に気づいていない例や、気づいていても恥じたり隠したりして助けを求めなかったり、対応が困難で家族が疲れていたりといったことがあります。そのような状況でご本人は、迷ったり探したりしているうちに思いもよらぬ遠くまで歩いてしまい、よりどころもなく野外で過ごすうち、高齢ゆえ寒さに耐えられず亡くなっていたり、道を踏み外して側溝にはまっていたり、交通事故にあったり、といった例が報告されています。

そこで、このような出来事を未然に防ぎ、認知症の方やその家族を地域で支えるための住民ネットワークを築いていこうという動きが今、全国のさまざまな地域で始まっています。それが、『高齢者の見守り・SOSネットワーク』です。

高齢者の見守り・SOSネットワークとは