障子のある暮らし

明智回想法センター職員による秋のイベントとして障子貼りをしました。

昔の品々が展示してある本館と旧大塩医院の診察室があった別館と茶室があり、障子戸と言われる建具が大小合わせて33枚あります。そのうち12枚が雪見障子と言われるものです。また1枚の障子戸が1メートルを超すものが4枚、その雪見障子は横開きで凝った作りがしてあります。

すでに茶色く変色し長年の使用で破れ、花の形に切った障子紙または色紙で直してあったり一部のみ張り直してあったりで、桟から剝がすのもとても難儀で何日もかけて作業しました。部屋から障子を外すことも、障子紙を剥がすことも、障子の桟を洗うのも、新しい障子紙を貼ることも大変なことでした。

門前の小僧というたとえがありますが、一つ一つの作業は子どもの頃、お母ちゃんやおばあちゃんが、お正月の前になると「正月が来るでのう(東濃弁)」と言って貼り替えていたことを思い出します。「貼った後、口に水を含んで、プーっと吹いていなかった?」とか「手をかける所が無い障子戸は手掛を障子で作るんだったよね」とか、回想に耽りました。

貼り替えた後は古い部屋がみるみる淡い日の光に包まれ、心落ち着く空間へと変わりました。

どうぞ、皆さま、忙しい時を忘れ、ゆったりと昔ことを思い出しに、明智回想法センターへお越しになりませんか。

写真と文 吉田あけみ

明智回想法センターまつり2023開催

9月9日(土)は、年に一度の「明智回想法センターまつり」でした。今回で17回を迎えました。時代は移り、催しの内容もやり方も少しずつ変わってきましたが、ただ一つ変わらないものは、回想法を通じて皆さんと繋がっているということです。コロナ禍だった3年間は、以前のように事が進まず試行錯誤の連続でしたが、近頃ではまた以前の明智回想法センターまつりが戻ってきました。

まつり開幕は、明智読み聞かせの会によるオカリナの演奏、曲は「見上げてごらん夜の星を」と「里の秋」の参加者全員での合唱でした。次に明智町が生んだ日本洋画界の先駆者、山本芳翠(やまもとほうすい)の紙芝居、題名は「志高く生きた人郷土の先人 山本芳翠」。嘉永3年、現在の恵那市明智町野志に生まれ、京都・横浜・東京・フランスのパリと絵の勉強にいそしみ、明治39年に亡くなるまで日本の洋画界をけん引した人です。現在残っている絵は、宮内庁と岐阜県立美術館に保管されています。紙芝居も会で話し合ってできたもので、躍動感溢れる人物として描かれていて、見る者の心にも訴えるものがありました。あまり知らない人でも紙芝居を見れば興味がわくことでしょう。

次に、懐かしの部屋巡り~懐かしのモノ発見!恵那市が生糸の生産地でもあり明智に生糸の銀行蔵(現在は資料館として残っている)があったことから養蚕をテーマにし、大きな桑摘籠(桑の葉が30キロ入る)・お蚕繭・生糸・糸巻機などを並べて回想をしました。皆さん昭和15年前後生まれの参加者でしたが、幼い頃に手伝わされた経験から、繭をお湯に入れて、5本どり・7本どり・10本どり、それぞれの太さの糸を糸巻機に巻く手つきは、知らないものでもすぐ何をやっているしぐさかわかるくらい体が覚えているようでした。また「お蚕様が卵・毛蚕(ケゴ)から1齢幼虫から5齢幼虫まで脱皮を繰り返し、さなぎが繭を作り、その間雨が降っているようにザワザワと音を立てていた」と、話が飛び交っていました。中には、「お蚕は「お蚕様」(おかいこさま)と言って、様を付けて呼んでいた」、「養蚕の時期は、どの部屋もお蚕様が占領してしまって、寝ている自分の顔の上に落ちてきて、それがヒヤッと冷たかった」などと言われる方もありました。また、前筆の桑摘籠を小学校の頃かついだと、会場で腰を90度に折り曲げた格好を披露してくださる方もありました。きっと、力強いお子さんだったのでしょう。

続いて、当回想法センターの管理者でもある、日本福祉大学の来島修志先生による講演会「認知症予防のためのきょういくときょうよう」がありました。認知症予防の原則として、生活習慣病の予防、有酸素運動、知的活動、コミュニケーション、社会との絆(社会参加)の大切なことについて、体を動かしたり、考えたり、昔を思い出したり、好きなことや新しいことの社会活動を行うなど、生きがいとしてやり続けることの大切さをお話しされました。そして回想法を体験することによって脳の活性化につながることや、毎日の生活の中で、自分は社会で役立っているという自己肯定感、仲間づくり、世代間交流、今日行くところがあり今日の用事を持つことの大切さを学びました。

写真と文 吉田あけみ

明智回想法センターまつり2023

開催日時:9月9日(土)10:00~12:00
場所:明智回想法センター

全国の回想法に関心をもたれているお仲間とZoomオンラインでつながり、懐かしの部屋を巡り、懐かしのモノを発見し、懐かしい思い出話を楽しみましょう!また認知症や回想法についても学んでみませんか?

☆ご自宅のパソコンやタブレットからどなたでも何人でも参加可能です。直接センターに来館して参加を希望される方は、右のお電話にて事前にお申し込みをお願いします。

☆ご自宅からオンラインで参加を希望される方はakechikaisouhou@gmail.com(明智回想法センター)までメールにてお申し込みください。当日のZoomアドレスをメールにて送付いたします。

プログラム

10:00~10:30 紙芝居とオカリナ演奏
「志高く生きた人郷土の先人 山本芳翠」
「たべられたやまんば」
(明智読み聞かせの会)

10:30~11:00 懐かしの部屋巡り~懐かしのモノ発見!
明智回想法センターをシェアしながら、懐かしい展示物をご紹介します

11:10~12:00 講演
「認知症予防のためのきょういく・きょうよう」
 来島修志(センター管理者、日本福祉大学教員)

参加申し込み方法

来館参加希望の方は
TEL/FAX(0573)54-4056
9時~17時までの間にご連絡ください
(月曜日休館)

※密集を避けるため先着20名までとさせていたただきますが、予定が変更されることもありますので、ご承知おきください

9月1日(金)おもいでカフェ開催!テーマ~運動会の思い出

~9月のテーマ~ 「運動会の思い出」でした。またまたDJ来島の後ろには、玉入れの竹籠・紅白の玉・スターターピストル・運動足袋、それに参加者皆さんにつけていただいた紅白黄青色のハチマキそれでぐんーと場が盛り上がりました。中には、高校の3年間ずーと白組、それで白のハチマキ・白のたすき運動会の白色にはいずいぶん思い入れがある方もおりました。また、小学校の時、自分は走ることが得意でなくいつもびりだったが父親がPTAの会長でテントの中の来賓席にいて恥をかかせていたが、中学校になったら早く走れるようになり良かった。昔、運動会に履く運動足袋と言うものがありました。底は厚い布で出来ており一日履いたら破れてしまうようなものでしたが、みんな白い足袋というわけでもなく、お大尽の子は足袋、そうでない子はみな裸足で走っていたとか。そうだ、「騎馬戦もあったなあ。」「大玉転がし、借り物競争、綱引きもあった!」「あった!あった!!」その日は、子供と一緒にお祭りの様だった。「弁当のお稲荷さんもおいしかったな。」「棒倒しもあったな。」「俺なんか、負けず嫌いだもんで、がーっと!棒を倒したもんだ。」と恰好を付けて、お話して下さる方もおりました。

また、徒競走の時の、ピストル(スタータピストル)を持った先生が右手を上に向け、よ~い!パン!!白い煙と火薬の匂い・・・皆さんだんだんと思い出がよみがえり、あのスタートの時の音に胸が張り裂けそうになる、あの時の緊張がよみがえったと言われていました。

♪懐かしのあの歌この歌♪はズンドコ節、赤星先生のお話では、小林旭のズンドコ節・ドリフターズのズンドコ節・氷川きよしのズンドコ節があるとか。忘れていた歌詞も次第に思い出し【ズンズンズン ズンドコ・・・】と皆さんで歌いました。 

写真と文 吉田あけみ

8月4日(金)おもいでカフェ開催!テーマ~お盆の思い出

~8月のテーマ~「お盆の思い出」でした。今回も、DJ来島の前にはお盆用のござの上に、そうめん、仏さんが持つ土産を背に乗せたきゅうりの馬、茄子の牛、盆提灯、まわり盆提灯、おみなえし・ミソハギ・百日草の盆花、牛馬の足または仏さんの箸に使うハスの茎殻等々いっぱい並べ、DJ来島の「あ~あ~聞こえますか・・・回想ラヂオ、回想ラヂオ、ただいまより放送を開始いたします。」・・・の第一声を息をのんで皆で待ちました。

参加者の皆さんの地域でのまつり方などが違い、ござの上に敷く葉もハスの葉、里芋の葉、桐の葉など様々でした。その葉は、線香などの火が落ちた時など火事予防に敷かれるものだとおっしゃっていました。そして、7月盆の所もあれば8月盆の所もありました。この東農地方は、昔養蚕が盛んで7月にはまだお蚕さんがいて、8月盆になったと言われる方もありました。

回想ラヂオが始まる前に皆さんで仏さんのお土産づくりをしましたが、これまた地域各家庭で多少違っていてワイワイガヤガヤ楽しい時間でした。大豆の葉三枚それぞれ塩・味噌・山椒の葉をくるんで、かやつり草で縛ります。それを4個作り、2個づつ対に馬牛の背に乗せてそうめんのたずなを乗せます。その土産は、鬼に渡すもので、塩辛いお土産に難儀しているすきに難なく通り過ぎるためのものと、おっしゃっていました。牛馬に足を付けるのも「突き刺して鞍にしなあかんに!」とか「上へ突き刺したらあかんのじゃない!」とかいろいろな話が出て、一辺倒でないのが良く分かりました。そして、全国の回想法の皆様と止まらない話で楽しく繋がることが出来ました。

♪懐かしのあの歌この歌♪の炭坑節では、皆席を立ち参加者全員で赤星先生の歌に合わせて踊りました。踊りの型は「ほって、ほって、またほって、かついで、かついで、ながめて、ながめて、ちょちょんがちょん」と踊るようです。子供の頃若い時に各地でやぐらを組み、その周りで浴衣を着て盆踊りを踊った楽しかった時の思い出がよみがえったようで、懐かしいひと時を過ごすことが出来ました。

写真と文 吉田あけみ

7月7日(金)おもいでカフェ開催!

明智回想法センターにおいて、大型テレビモニター導入後2回目の「回想ラヂオ」の日でもあります。

参加者の皆さんもだんだん増え、初回より少し慣れてきて、DJの頭ごしにテレビ画面を神妙な顔で見つめワクワクドキドキしていました。

来島先生「アーアー、聞こえますか・・・回想ラヂオ、回想ラヂオ、ただ今より放送を開始いたします」今月もこのアナウンスから始まりました。

7月のテーマは「夏休みの思い出」。DJ来島の前には、虫取り網・虫取り籠・浮き輪・たも(魚取り網)・麦わら帽子・七夕飾り等々をいっぱい並べ、全国の沢山の人達とそれぞれ繋がることができました。会場では、七夕飾りを見て「私も書きたい!」と楽しそうに願い事を書いてくださる方も見えました。

俗に「わんぱく坊主」「わんぱく娘」と言われていた頃、皆麦わら帽子をかぶり野山を駆け回り虫を捕ったり、パンツ一枚で川の土手から飛び込んで遊んだり、川の浅瀬に「たも」を持ち魚とりを楽しんだり、きゅうり・すいかを池で冷やして食べたりしていた思い出に思いを馳せて、楽しい話は止まりませんでした。

写真と文 吉田あけみ

恵那市東野出身の故長谷川三千夫さんの素朴画

令和5年、長谷川さんの息子さんのご厚意により季節ごとの素朴画を明智回想法センターに展示することになりました。展示は1点のみですが、実物の素朴画を是非ご覧ください。季節ごとに入れ替え展示いたします。

追憶・・・私たちの幼い頃、おじいちゃん・おばあちゃん・おとうちゃん・おかあちゃん・お兄ちゃん・お姉ちゃん・弟・妹、というように何世代もの家族が一つ屋根の下一緒に暮らしていた良き時代がありました。生活は、現在のように楽ではありませんでした。食事を作るにも、百姓をするにも、風呂に入るにも、薪を作るにも、どれをとっても大変なことで、大人から子供まで生活を支えていました。そんな生活を思い出させてくれるのが「素朴画の詩画集 追憶」です。

素朴画は、見る者の記憶の奥の当時楽しかったこと、苦しかったこと、辛かったこと、雪が降った後の匂い、薪が燃えるときの匂い、サンマを焼く匂い、草を焼く匂い等々すべてを思い出させてくれます。

長谷川さんの絵は、全部で36点あり、絵の細部に描かれた人物の表情やしぐさにストーリーがあり主人公がいます。そのすべてが、温かい詩歌のような絵で、四季折々の昔懐かしい農村の風景や人々の姿が見る者の心を癒してくれます。

また、シルバー総合研究所では、長谷川三千夫『追憶』素朴画特別展のホームページを作成いたしました。長谷川さんの素朴画を個人で楽しまれるとともに、世代をこえた交流や地域の方との回想法、高齢者施設での認知症の方との回想法などにご活用ください。

長谷川三千夫『追憶』素朴画特別展

写真と文 吉田あけみ

思い出歳時記回想法センターを開設しました

思い出歳時記回想法センターは、思い出すきっかけとなるような語りや回想法の体験談を持ち寄り、ともに回想し合ったり、回想法について語り合ったりすることを目的としたサイトです。

内容は、NPO法人シルバー総合研究所が毎月おこなっている、ZOOMオンラインアクティビティ「回想ラヂオ」で話されたことや、写真資料などを中心に掲載しています。

ぜひご活用ください。

→思い出歳時記回想法センター

明智回想法センターまつり2022開催のお知らせ

9月3日(土)10:00〜12:00まで、「明智回想法センターまつり2022」を開催いたします。全国どこからでもご参加できますので、ぜひご参加ご検討ください。

お申し込みは、恵那市明智回想法センターのメールに「参加希望」と記入してお送りください。参加お申し込み、お問い合わせはこちら akechikaisouhou@gmail.com(明智回想法センター)